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セットバックで市はいくら払うのか。6市を並べてみた

最終更新:2026年9月10日/出典は各項目に明記しています
同じ「セットバックしたら市がいくらくれるのか」という問いに、市はまったく違う答え方をします。 平塚市は㎡単価を公表し、鎌倉市は固定資産評価額の20%、厚木市は補償費の70%以内。 藤沢市と横須賀市は金額を公表していません。 1mの後退でも、市が違えば手取りが数十万円変わります。

狭あい道路とセットバックの基本

幅が4m未満の道でも、建築基準法42条2項によって「道路とみなす」とされているものがあります。いわゆる2項道路・みなし道路です。

この道に接する土地に建物を建てるときは、原則として道路の中心線から2m下がった線を道路の境界とみなします。この下がることをセットバック(後退)と呼び、下がった部分には建物も塀も置けません。

そして多くの市は、後退した部分を市が引き取って舗装する制度、あるいは塀の撤去費用を補償する制度を持っています。その中身が、驚くほど違います。

市ごとの金額を並べる

後退用地の扱い・金額測量・登記塀・門扉などの補償舗装
平塚市買取。令和8年度の単価を用途別に公表
市街化区域 住宅系30,000円/㎡
商業系64,000円/㎡
工業系24,000円/㎡
市街化調整区域9,000円/㎡
記載なし既存の門扉等の物件移転の補償等の支援記載なし
鎌倉市固定資産評価額の20%の価格で買取測量・分筆・地目変更・所有権移転登記を市が行う記載なし市が舗装を行う(条件つき)
厚木市買取(公示価格を参考に基本価格を決定)または寄附。対象は幅員1.8m以上4m未満、中心から2m後退申出者が行う場合は自己負担/市が行う場合は市主導損失補償算定標準書に基づく基本補償費の70%以内を移転補償金として支払い原則、厚木市が行う
藤沢市寄附・売買・使用貸借の契約で市に移管。単価は非公表(「市独自の基準で計算した金額」)記載なし塀、門扉、土間コンクリート、樹木、給水設備、排水設備等。建築行為や解体を伴わない撤去も対象市が整備
横須賀市目標幅員4m。対象は「4m未満の、境界が確定している市道で建築基準法上の道路」。金額は未確認測量・登記・道路整備の費用の一部を助成後退用地内の門・塀などの支障物件の撤去・移設費用の一部記載あり
横浜市中心から2mの範囲の支障物除去・移設費用を助成。電柱移設奨励金あり記載なし助成対象市が舗装工事、または舗装費用を助成

平塚市だけが、㎡いくらかを書いている

県内で唯一、平塚市が後退道路用地の取得単価を用途地域別に公表しています。令和8年度の単価はこうです。

市街化区域 住宅系 30,000円/㎡商業系 64,000円/㎡工業系 24,000円/㎡
市街化調整区域 9,000円/㎡

たとえば間口8mの敷地で0.5m下がると、後退面積は4㎡。住宅系なら12万円、商業系なら25.6万円という計算になります。

この単価が公表されているおかげで、工事の見積を取る前に、手取りの見当がつきます。これは他市ではできません。

鎌倉市は、登記も舗装も市がやる

鎌倉市は買取価格を固定資産評価額の20%としています。金額だけ見れば平塚より安く見えるかもしれません。

ただし鎌倉市は、測量・分筆・地目変更・所有権移転登記を市が行うと明記しています。この4つを自分で手配すると、土地家屋調査士と司法書士の費用で数十万円かかることがあります。そこが市負担なら、実質の手取りは変わってきます。

金額だけを並べても比較にならない、というのはこういうことです。

セットバックしてでも建て替えるか、そのまま手放すか

後退・測量・塀の撤去まで含めると、手出しが出るケースもあります。「今の状態で売ったらいくらか」を先に知っておくと、金額で比較できます。

43条2項2号の許可基準を見る

藤沢市の、他市に見当たらない条件

藤沢市の狭あい道路整備事業には、他市の要綱では見つけられなかった条件があります。

建築行為(増改築)や解体を伴わない、塀だけの撤去も補償の対象。

ふつう、この種の助成は「建て替えのタイミングで一緒にやる」ことが前提です。藤沢市はそこを切り離しています。

「建て替える予定はないけれど、道が狭くて車が入らない」「古いブロック塀が危ない」という場合に、補償を受けながら塀だけ下げられる可能性がある、ということです。補償対象も塀・門扉・土間コンクリート・樹木・給水設備・排水設備と具体的に列挙されています。

横須賀市の「境界が確定している」という条件

横須賀市の狭あい道路拡幅整備助成事業には、注意すべき条件があります。対象が「4m未満の、境界が確定している市道で、建築基準法上の道路」とされている点です。

つまり、市道であっても官民境界が確定していなければ対象外になり得ます。古い住宅地では境界が未確定のままの道が珍しくありません。

助成を当てにして工事の段取りを組む前に、まず「その道の境界は確定しているか」を市に聞いてください。順番を間違えると、後から動かせなくなります。

再建築不可・接道なしの家を、いくらで買う会社があるか

43条の許可が取れるかどうかは市の判断です。並行して「今のままで買う会社がいくら出すか」を知っておくと、判断材料が2つになります。無料・査定だけでも可。

43条2項2号の許可基準を見る

道の種別が分からないときは → 自分の家の前の道を調べる

よくある質問

セットバックした部分は、誰のものになりますか。
市によって扱いが違います。平塚市・鎌倉市・厚木市は市が買い取る制度を持っています(厚木市は寄附も選べます)。藤沢市は寄附・売買・使用貸借の契約で市に移管します。所有権を残したまま使用貸借にできるかどうかも市によって違うため、事前の確認が必要です。
後退した部分の固定資産税はどうなりますか。
一般に、道路として提供された部分は非課税の扱いを申請できますが、手続きと要件は市によって異なります。各市の資産税課にご確認ください。本サイトでは各市の要綱で確認できた範囲のみを掲載しています。
塀を撤去する費用も出ますか。
藤沢市は塀・門扉・土間コンクリート・樹木・給水設備・排水設備等を補償対象として明記しています。しかも「建築行為(増改築)や解体を伴わない撤去」も補償対象という独自の条件があります。厚木市は損失補償算定標準書に基づく基本補償費の70%以内を移転補償金として支払うとしています。
舗装はどちらが行いますか。
厚木市は「原則、厚木市が行う」と明記しています。鎌倉市も条件つきで市が舗装を行います。横浜市は市が舗装工事を行うか、舗装費用を助成します。
横須賀市はいくらもらえますか。
横須賀市は目標幅員4mの狭あい道路拡幅整備助成事業を持ち、測量・登記・道路整備の費用の一部と、後退用地内の門・塀などの支障物件の撤去・移設費用の一部を助成するとしています。ただし金額の実数は公開資料から確認できませんでした(未確認)。また対象が「4m未満の、境界が確定している市道で建築基準法上の道路」とされている点に注意が必要です。

出典:平塚市「狭あい道路整備事業」/鎌倉市「狭あい道路拡幅整備事業について」/厚木市「狭あい道路整備事業」「建築行為に係る道路後退用地等の取得に関する要綱」/藤沢市「狭あい道路整備事業の取り扱い」「狭あい道路整備事業に伴う補償について」/横須賀市「狭あい道路拡幅整備助成事業」/横浜市「狭あい道路の拡幅整備」(いずれも2026年9月10日確認)